確定申告といっても、全員が同じ書式で申請する訳ではありません。確定申告には「青色申告」と「白色申告」の2種類があるのをご存知でしょうか。
申請用紙の色が違うの?所得の大小によって違うの?個人と法人の違い?
名前だけではイメージがわかないですよね。
このページでは「青色申告」と「白色申告」の違いやメリット・デメリットについて解説します。
青色申告と白色申告の違い
簡単に言うと、帳簿の種類と、控除額に差があります。もう少し言うと、事前に提出する書類の有無、申告時に提出する書類の種類に違いがあります。
事前に提出する書類
白色申告:なし
青色申告:青色申告承認申請書、(開業した場合は)開業届
出典:国税庁
確定申告時に提出する書類
白色申告:
1.確定申告書B
2.各種控除関係の書類
3.収支内訳書
4.必要な帳簿(提出不要):法定帳簿(家計簿のようなもの)
青色申告(10万円控除):
1.確定申告書B
2.各種控除関係の書類
3.青色申告決算書
・損益計算書
4.必要な帳簿(提出不要):現金出納帳(必要に応じて)売掛帳、買掛帳、経費帳 、固定資産台帳
青色申告(65万円控除):
1.確定申告書B
2.各種控除関係の書類
3.青色申告決算書
・損益計算書
・貸借対照表
4.必要な帳簿(提出不要):仕訳帳、総勘定元帳、(必要に応じて)買掛帳、売掛帳、経費帳、固定資産台帳、預金出納帳など
各書類の概要
確定申告書Bとは?
確定申告書はAとBの2つあり、申告書Aはサラリーマンやパート勤務の人が、申告書Bはフリーランス・個人事業主が使用するものです。
申告書は税務署でもらうか、国税庁のHPでダウンロードも可能です。
出典:国税庁
各種控除関係の書類とは?
生命保険や医療保険、住宅ローンを控除控除するためのもので、確定申告時期に保険会社から届いたり、住宅ローンを組んだ際にもらう書類を捨てずに保管していれば問題ありません。
その他にも、小規模企業共済等掛金控除、医療費控除、地震保険料控除雑損控除、雑損控除、寄附金控除があります。
収支内訳書とは?
その名の通り、収支の内訳が分かる書類です。その年の売上、仕入、経費の合計を記入します。それを作るために必要なのは帳簿(家計簿)です。いきなり1年間の収入と支出は?と言われても答えられないと思います。
いつ、だれに、いくら払ったかが分かるように帳簿を付けておく必要があります。また、経費の場合は何に使ったか(交通費なのか、通信費なのかなど)が分かるようにしておきましょう。難しく考えず、家計簿をつけるようなイメージです。もちろん領収書は保管しておきます。
また、白色申告の場合は、一つ一つの取引ごとに記載せずに、日々の合計金額をまとめて記載するという簡便な方法で記載することも認められていますので、面倒な方は1日単位でまとめてしまいましょう。
様式は税務署に行って受け取ることができますが、国税庁のHPからのダウンロードも可能です。
出典:国税庁
青色申告決算書とは?
収入と経費で構成された損益計算書が3枚、資産、負債、資本で構成された貸借対照表が1枚の合計4枚になります。
白色申告にある収支内訳書と損益計算書は、減価償却の有無で違いますが、基本的には同じようなものです。ただ貸借対照表は、会社の決算報告書にあるような資産・負債・純資産で構成されたものなので、初めて見る方は少し難しいかもしれません。
また、各書類の保管期間は、収支を記載した帳簿は7年、領収書などエビデンスとなるものは5年間です。
出典:国税庁
なぜ青色申告をするのか?
このように、白色申告に対して青色申告には必要な帳簿や提出種類が多いので、なかなか難しいし面倒です。では、なぜ青色申告をするのでしょうか?
単純に考えれば申請が楽な白色申告のほうがいいですが、青色申告をすると所得の控除が受けられるメリットがあります。上にある通り、青色申告には2種類あり、帳簿や提出書類によって10万円もしくは65万円の控除があります。65万円の控除があると、所得の金額によって税率は変わりますが、最低でも5%の3万円支払う税金が減るんですね。
課税される所得金額 | 税率 | 控除額 |
---|---|---|
195万円以下 | 5% | 0円 |
195万円を超え 330万円以下 | 10% | 97,500円 |
330万円を超え 695万円以下 | 20% | 427,500円 |
695万円を超え 900万円以下 | 23% | 636,000円 |
900万円を超え 1,800万円以下 | 33% | 1,536,000円 |
1,800万円を超え4,000万円以下 | 40% | 2,796,000円 |
4,000万円超 | 45% | 4,796,000円 |
出典:国税庁
その他にも、白色申告ではできない、赤字が3年間繰り越せたり、家族への給与が経費にできる等のメリットがあります。
おまけ
ちなみに「青色申告」という名前の由来は、制度を導入した1949年、当時のGHQ(連合国総司令部)のマッカーサー最高司令官から「税制改革案」の依頼を受けたカール・S・シャウプ(コロンビア大学教授)が、移動中の車の日本人運転手が好きな色が青色だったことで決まったそうです。
そして名前に合わせて申告用紙を青色にしたとのこと。なんとも行き当たりばったりな由来ですね。
参考:http://tax.the-sate.com/2014/10/10/doyoulikebule/